《上海市外商投资条例》日语译文

上海市外商投資条例

(2020年9月25日に上海市第十五期人民代表大会常務委員会第二十五回会議において可決された)

第一章 総則

第一条 本市における更に高い水準での対外開放に一層取組み、外国投資者による対中投資を促進し、安定させ、外国投資者の対中投資に係る合法的な権益を保護し、全面的な対外開放という新たな情勢の形成を加速させるため、「中華人民共和国外商投資法」、「中華人民共和国外商投資法実施条例」などの法律、行政法規に基づき、本市の実情を踏まえ、本条例を制定する。

第二条 本市の行政区域内における外国投資者による対中投資、及びその促進、保護、管理、サービス提供等に本条例を適用する。

第三条 本市は、市場化、法治化、国際化、利便化の原則に則り、外国投資者による対中投資に対して内国民待遇を全面的に実施し、外国投資者による対中投資を促進し保護するための体制を確立し整備し、安定した、透明性ある、予期可能且つ公正な競争が保障された市場環境を築き、対外開放の水準を引き上げる。

第四条 本市では、外国投資者による対中投資に対し参入前の内国民待遇+ネガティブリスト管理制度を全面的に実施する。外国投資者の対中投資参入ネガティブリスト外の分野において、本市における各級の人民政府及びその部門は、外国投資者による対中投資に対して参入制限を設けてはならない。

本市は、国の規定に基づき、設立、運\営、処分などの各段階において外国投資者及びその投資に対し、類似する状況下で中国国内投資者及びその投資に与えられる待遇を下回らない待遇を与える。

第五条 市、区の人民政府は、外国投資者の対中投資に係る取組みに対する組織的な指導と統括された計画的な手配の推進を強化し、外国投資者による対中投資の促進と利便化のために政策措置を制定し、外国投資者による対中投資に係る議事・調整システムを確立し整備し、外国投資者による対中投資に係る重大な事項を速やかに調整し、解決するものとする。

市の商務部門と発展改革部門は職責ごとに役割を分担し、外国投資者による対中投資の促進、保護、管理、サービス提供などの役割を担い、市のその他関係部門は各自の職責の範囲内で、外国投資者の対中投資に関連する作業を扱う。

外国投資者の対中投資に対応する区人民政府の部門(以下「区の商務部門」という)及びその他関係部門は職責ごとに役割を分担し、同区において外国投資者による対中投資の促進、保護、管理、サービス提供などを扱う。

第六条 外国投資者、外商投資企業から報告された、異なる部門、区域に絡む問題について、市、区の商務部門が率先して調整を図る。各関係部門は、各自の職責に従って問題の解決に積極的に取組み、処理結果を市、区の商務部門にフィードバックするものとする。市、区の商務部門は、処理結果を外国投資者、外商投資企業に遅滞なくフィードバックするものとする。

第七条 外商投資企業の従業員は、法に依拠し労働組合組織を結成し、労働組合活動を展開し、従業員の合法的な権益を保護する。外商投資企業は、自社の労働組合の活動に必要となる条件を提供するものとする。

第二章 対外開放の拡大

第八条 本市は、対外開放の中枢拠点、ゲートウェイとしての機能を強化し、対外開放に係る国の総合計画に従い、国際的に通用する高水準の投資貿易規則を実施し、商品及び要素流動型の対外開放から、規則、規制、管理、標準などの制度型の対外開放への展開を推進し、更に深い次元、更に広い分野において、全方位からの高水準の対外開放の推進に一層力を入れる。

第九条 本市は、サービス業分野の対外開放に係る国の計画に基づき、銀行、証券、保険、先物、投資信託、資産管理、信用格付けなどの金融分野における対外開放を他に先駆けて行い、電気通信、インターネット、医療、交通輸送、文化、教育などの分野における対外開放の拡大を秩序立てて推進し、且つ本市において、その他サービス業の対外開放拡大に係る国の政策措置を全国に先駆けて行うことができるよう努める。

第十条 中国(上海)自由貿易試験区(以下「自由貿易試験区」という)は、対外開放拡大の試行地区としての役割を発揮し、対外開放の度合いを強め、最高の基準と最良の水準を念頭に置き、国の計画に従い外国投資者の対中投資試行政策措置を実行し、対外開放のストレステストを実施する場としての役割を担う地区として、踏襲可能且つ普及可能な経験を蓄積していくものとする。

係る外国投資者の対中投資試行政策措置について、本市は自由貿易試験区以外のより広い範囲内でこれを適用することができる。但し国が自由貿易試験区にのみ適用することを明確にしている場合は、この限りでない。

第十一条 中国(上海)自由貿易試験区臨港新エリア(以下「臨港新エリア」という)は、国家戦略に適合し、国際市場におけるニーズが高く、対外開放が強く求められている重点分野を選択し、差異化を探求し、外国投資者による対中投資に対する一層開放された自由で便利な政策、制度を実施し、投資経営上の利便性向上、貨物の自由な出入、資金流動の利便性向上、高度に開放された輸送、就業の自由化、及び情報連携の迅速化の実現を推進し、国の規定に基づき国際競争力を有する租税制度と政策を実施し、国際市場における影響力と競争力を更に備えた特殊経済機能区を建設するものとする。

第十二条 本市は、長江三角洲(以下「長江デルタ」という)地区一体化式発展の国家戦略に基づき、長江デルタ区域協力メカニズムに依拠し、重点分野の対外開放に取り組む協働を推進し、長江デルタ地区における質の高い対外開放の全体的水準を絶えず向上させる。長江デルタ生態エコ一体化式発展モデル区の建設を重点対象及び土台とし、革新的発展制度の優位性の形成を模索し、対外開放の連動効果を高め、外国投資者による投資先としての産業が合理的に分布するよう誘導する。長江デルタ生態エコ一体化式発展モデル区において統一的に適用される「政府認可の投資プロジェクトリスト」を整備し、リスト外の外国投資者対中投資プロジェクトに対しては届出制を実施する。外商投資企業の登記基準、取扱フロー、取扱方式の統一化を進める。外国高度人材の就労許可の相互承認及びサービス制度を確立する。

虹橋商務区から世界各地への中継機能を更に強化し、現代サービス業の発展に焦点を当て、長江デルタとの連携を推進し、虹橋に世界とつながる開放型中枢拠点を構築する。

第十三条 本市の関係部門は、中国国際輸入博覧会(以下「輸入博覧会」という)の対外開放拡大に対する波及効果を十分に発揮させ、輸入博覧会の国際調達、投資促進、人文交流、対外開放提携の場としての役割を発揮させ、輸入博覧会の出展業者に対するマッチングサポートを強化し、貿易投資に付帯するイベントを企画、展開し、輸入博覧会と投資促進活動との調和の取れた連携を推し進めるものとする。

第十四条 対外開放分野の拡大に際して、それを支えるための国レベルでの法整備が必要な場合、本市は、国の関係部門との意思疎通を強化し、係る法律、行政法規、国務院の決定及び部門規則などへの調整を加えた適用を提案するものとする。

係る法律、行政法規及び国務院の決定などが外国投資者による対中投資に係る規定に対して調整して適用されている場合、国の関係部門が係る管理弁法を制定若しくは調整しなければならないことが同時に明確にされている場合を除き、本市は直ちにこれを徹底して実施するものとする。

第三章 投資促進

第十五条 市、区の人民政府は、政府の主導のもと、専門機関、商会、協会、企業などが共同で参加する外国投資者の対中投資促進サービスメカニズムを確立し整備し、外国投資者、外商投資企業に対して全方位からの的確な投資促進サービスを提供するものとする。

第十六条 本市は、統一された外国投資者の対中投資促進サービスプラットフォームを確立し、外国投資者による対中投資に関連する法律、法規、規則、規範性文書、政策措置を取りまとめ、業界の動向、投資促進プロジェクト情報などを公示し、オンライン、オフライン上で並行して投資情報、事業マッチング、投資の橋渡しなどのサービスを提供する。

外国投資者の対中投資促進サービスプラットフォームは、多言語による情報サービスを徐々に展開していくものとする。

第十七条 市、区の人民政府及び関係部門は、都市プロモーション、区域プロモーション、テーマ別のプロモーションイベント、契約の一斉締結などの多様な形式の投資促進活動を展開するものとする。

市の外国投資促進機構は、上海の投資環境を宣伝し、投資促進活動を展開し、外国投資者、外商投資企業の事業相談を受け付け、各区、自由貿易試験区、臨港新エリア、国家級及び市級の開発区、虹橋商務区などに設立された投資促進機構による外国投資者の対中投資促進活動の展開に際して、これを指導するものとする。

各種投資促進機構が中国国内外において投資促進活動を展開することを支持し、投資の促進と、コンベンション、文化、科学技術、スポーツ、観光などの大型国際イベントとの連携を推し進め、資金導入ルートを拡張し、資金導入の質を高める。

市の商務部門は、市の外事部門と共同で、本市が中国国外において展開する外国投資者の対中投資促進活動を統括して計画的に手配し、指導し、サポートを行うものとする。

第十八条 本市は、国際友好都市、友好組織及びその他中国国外の都市、地区との投資経済貿易分野における交流、提携を強化する。

市の商務部門、市の外国投資促進機構などは、中国国外の上海駐在投資促進機構などとの連絡を強化し、投資促進のための協力関係を確立し、実際の必要に応じて、中国国外に投資促進機構を設立し、海外における投資促進ネットワークの整備を推し進める。

本市が中国国外に設立する投資促進機構は、市、区の関係部門及び園区との連携を強化し、本市における企業の海外駐在員事務所との協働を強化し、プロジェクト誘致などのサービスを共同で遂行するものとする。

第十九条 市の商務部門は、関係部門と共同で対中投資ガイドライン、対中投資環境白書などのガイダンスを定期的に作成し、中国語、英語などの言語で発信し、適宜更新するものとする。区の商務部門は実情に応じて、同区の対中投資ガイダンスを作成するものとする。

対中投資ガイダンスは、当該区域における経済社会の基本状況、重点区域、優位性分野などの投資環境の紹介、対中投資取扱ガイドライン、投資促進プロジェクト情報及び関連データ情報などの内容を含むものとする。

第二十条 外国投資者が国家「外商投資奨励産業リスト」に収載されているプロジェクトと本市の重点発展分野に対して投資することを奨励し、誘導する。

外国投資者が「外商投資奨励産業リスト」内のプロジェクトに投資する場合、規定に従い租税、土地利用などの方面で優遇政策の適用を受ける。外商投資奨励類プロジェクトの確認手続は、投資プロジェクトオンライン許認可監督管理プラットフォームを通じて行う。

外国投資者が、市、区の重点発展分野内のプロジェクトに投資する場合、市、区の人民政府は、権限の範囲内において関連費用の減免、土地利用指標の確保などの奨励措置を制定することができる。

第二十一条 本市は高水準の本部経済プラットフォームを構築し、外国投資者による本市における多国籍企業の地域本部と各種の機能性機構の設立を奨励し、その業務を集約し機能を拡張し、アジア太平洋本部、グローバル本部へと昇格させることを支持する。上海市における多国籍企業の本部と機能性機構は、資金援助、人員の出入国、人材登用、資金決済、貿易物流、物品の通関などの利便増進政策の適用を受けることができる。

市の商務部門は、関係部門と共同で政策措置を持続的に刷新し、多国籍企業の地域本部と各種機能性機構の誘致、認定、サポートなどの業務を遂行するものとする。

本市は、外国投資者による本市における投資性会社の設立を奨励し、投資性会社による法に依拠した投資活動の展開を支持し、その持分取引、資金移動などに利便性を提供する。

第二十二条 外国投資者が本市において外資研究開発センターを設立し、グローバル研究開発センターに昇格させることを奨励する。外資研究開発センターは、市の商務部門がこれを認定する。市の商務、科学技術、発展改革などの部門は、認定された外資研究開発センターに対し、政府の科学研究プロジェクトへの参加、研究開発成果の産業化、国際及び国内特許の出願、研究開発用品の輸入などの方面においてサポートを強化し、利便性を提供するものとする。

外国投資者が本市においてオープンイノベーションプラットフォームを構築し、先進技術、専門家、資金、成果、実験設施などのリソースを集約し、中小企業、イノベーションチームと多国籍企業とがマッチングし、イノベーション水準を向上させることを奨励する。

第二十三条 本市は、上海市内の金融機関が外商投資企業に対して多くの資金調達ルートを提供することを奨励する。外商投資企業は、法に依拠し銀行貸付、中国国内若しくは中国国外における株式、社債などの証券の公開発行、その他の資金調達ツールの公開若しくは非公開発行、外債の借入れなどにより資金調達を行うことができる。

本市における金融機関は、国のクロスボーダーファイナンス管理政策に基づき、外商投資企業による人民元対外貨のクロスボーダーファイナンスのために利便性を提供する。

第二十四条 外商投資企業が法に依拠し中国国内において再投資することを奨励する。

外国投資者が中国国内における自己の投資収益をもって中国国内において投資を拡大する場合、再投資に用いる企業の利益に対する源泉所得税を当面不徴収とするなどの優遇措置の適用を法に依拠し受けることができる。

第二十五条 区の人民政府は法定の権限内において、外国投資者の対中投資促進インセンティブ措置を制定し、同区域の経済社会への貢献度が総合的に高い外商投資企業、並びに外国投資者の対中投資促進において卓越した貢献を成し遂げた機構及び人員に対して褒賞を与えることができる。

第四章 投資の保護

第二十六条 市、区の人民政府及び関係部門が政府資金の支給、土地供給、租税公課の減免、資格許可、標準の制定、プロジェクト申告、職称の評定、人的資源などの企業発展支援政策措置を実施するに際しては、外商投資企業を法に依拠し公正に扱うものとする。

外商投資企業は、本市の公共資源取引プラットフォームを通じて、政府調達、入札募集・応札、土地払下げ、財産権取引などの活動に法に依拠し平等に参加する。

第二十七条 本市は法に依拠し、外国投資者の対中投資に対する収用を実施しない。特別な状況の下で、公共利益のために必要であり、法律規定に従い外国投資者の対中投資に対する収用を実施するときは、法定の手順を厳守し、公正な方法で行い、かつ、収用される投資の市場価値に従い遅滞なく補償するものとする。

自然災害、公共衛生事件などの突発的な事件に対処するため、市、区の人民政府及びその関係部門は、法に依拠し外商投資企業の財産を徴用し、又は生産の手配と供給の確保を生活必需品又は応急救援物資を生産、供給する外商投資企業に要求することができる。徴用された財産は使用が完了し、又は突発的な事件への応急対処作業が終了した後に速やかに返還するものとする。外商投資企業の財産が徴用された、若しくは徴用後に破損、滅失したときは、法に依拠し補償するものとする。

第二十八条 外国投資者の中国国内における出資、利益、資本収益、資産処分所得、取得した知的財産権の使用許諾料、法により取得した補償若しくは賠償、清算所得などは、法に依拠し人民元又は外貨にて被仕向送金、仕向送金を自由に行うことができる。外商投資企業の外国籍労働者及び香港、マカオ、台湾労働者の賃金収入及びその他合法的な収入は法に依拠し自由に仕向送金を行うことができる。いかなる組織及び個人も、通貨の種類、金額、被仕向送金、仕向送金の頻度などに対し違法に制限を設けてはならない。

本市の銀行業金融機関はフィンテックの応用に力を注ぎ、外商投資企業のためにクロスボーダー決済の利便化及び決済電子化サービスを提供し、外国籍、香港、マカオ、台湾労働者の賃金報酬の外貨への両替に係る利便増進措置について検討し実施することを奨励する。

第二十九条 本市は外国投資者、外商投資企業の知的財産権を法に依拠し厳格に保護し、区域、部門の枠を超えた知的財産権の迅速な協同保護メカニズムの構築を推進し、司法と行政の協同での法執行による知的財産権保護システムを絶えず整備し、外国投資者、外商投資企業の知的財産権を侵害する行為を法に依拠し処罰する。

本市における各級の人民法院は、外国投資者、外商投資企業の知的財産権に係る証拠保全及び行為保全の申立に対し、迅速にこれを受理し審査し、法に依拠して裁定を下し、直ちに執行が行われるものとする。繰返し行われる権利侵害、悪意の権利侵害及びその他情状が深刻な権利侵害行為については、法に依拠し懲罰的損害賠償などの処罰措置が適用される。法律適用のガイダンスを適時発布し、中国語、英語にて知的財産権の司法保護に係る代表的判例を公表する。

第三十条 本市の関係部門は、内部管理制度を確立し整備し、有効な措置を講じ、職責の履行過程において知り得た外国投資者、外商投資企業の営業秘密を守るものとする。法に依拠しその他の部門と情報を共有する必要があるときは、情報に含まれている営業秘密に対して秘密保持措置を講じ、漏えいを防止しなければならない。

本市における各級の人民法院は、営業秘密に対する司法保護を強化し、証拠規則を法に依拠して適用し、権利者の権利保持における負担を軽減させるものとする。

第三十一条 本市は、外国投資者、外商投資企業による自由意志の原則及びビジネスルールに基づく、本市の各種事業者、科学研究機関との技術提携を奨励し、且つこれを法に依拠して保障する。

第三十二条 本市は、外商投資企業による政府調達への公平な参加を法に依拠して保障する。

本市は、政府調達情報の公示、サプライヤー条件の確定、入札評価基準などの方面において、外商投資企業に対して差別的待遇又は不当な取り扱いを実施してはならず、サプライヤーの所有制形態、組織形態、持分構造又は投資者の国別、及び製品又はサービスのブランドなどを限定してはならず、また、外商投資企業が中国国内において生産する製品及び提供するサービスに対し、内資企業と異なる扱いをしてはならない。

第三十三条 本市が外国投資者の対中投資に係る地方法規、規則、規範性文書を制定する際には、起草部門が外商投資企業や商会、協会などの意見、提案を十分に聴き取るものとする。

外国投資者の対中投資に係る規範性文書を制定するに際しては、規定に従い合法性の審査を行うものとし、法律、行政法規上の根拠を有しないときは、外商投資企業の合法的な権益を損なったり、又は義務を増やしてはならない。

本市において外商投資企業の生産経営活動に密切に関わる規範性文書と政策措置を制定するに際しては、施行する前に適応調整期間を設けるものとする。但し国に別段の定めがある場合及び公布後に直ちに施行しなければ施行の妨げとなる場合は、この限りでない。

制定機関が公布した外国投資者の対中投資に密切に関わる地方法規、規則、規範性文書については、読み易く、分かり易い方法をもって解説し、その英語訳版又は摘要を提供するものとし、且つ実情に基づき、多言語翻訳版又は摘要を提供することができる。

第三十四条 市、区の人民政府及びその関係部門は、その法定の権限内で外国投資者、外商投資企業に対して法に依拠し行った書面での政策上の誓約、及び法により締結した各種の契約を厳格に履行しなければならず、行政区画の調整、政府の再編成、機関若しくは職能の調整、関連責任者の交代などを理由に違約したり、又は契約を破棄してはならない。

市、区の人民政府及びその関係部門は、法定の権限を逸脱したことにより誓約、契約が無効になった又は履行できなくなった場合、法に依拠し法的責任を負うものとする。

第三十五条 本市は、外商投資企業による地方標準の制定、改正作業への法に依拠した公正な参加を保障し、外商投資企業の生産経営に密切に関わる地方標準について、外商投資企業の意見を十分に聴き取り、標準に対する意見募集案の英語訳版若しくは摘要の提供について検討するものとする。外商投資企業は、自己の推薦する代表を本市の専門標準化技術委員会に参加させることができる。外商投資企業の代表が全国専門標準化技術委員会に参加することを奨励する。市場監督管理部門と関係部門は、地方標準制定、改正の全過程に関する情報を法に依拠し公開し、外商投資企業による地方標準起草関連作業への参加、標準の翻訳、標準の国際化における協力などの方面で利便性を提供し、指導するものとする。

標準及び地方標準の指導性技術文書を利用し、外商投資企業の公正な競争への参加を妨害する行為を実施してはならない。

第三十六条 外商投資企業は、本市の給水、ガス供給、汚水処理、ごみ処理、並びに都市の道、自動車道路、都市鉄道交通及びその他公共交通などの建設、運\営プロジェクトのフランチャイズ経営活動に法に依拠し従事することができる。

本市の都市インフラ分野のフランチャイズ経営政策は、法に依拠し外商投資企業に対等に適用される。

第三十七条 外商投資企業又はその投資者は、行政機関及びその職員の行政行為によって自己の合法的な権益が侵害されたと認識したときは、市の商務部門、区の人民政府が指定する外商投資部門又は機関(以下「苦情処理機関」という)に苦情を申し入れることができる。苦情処理機関は等級別責任の原則に従い、関係部門と共同で、苦情申立人から報告された問題を処理するものとする。

市の商務部門は、関係部門と共同で外商投資企業苦情処理合同会議制度を確立し、市レベルで外商投資企業の苦情処理作業を調整しながら推し進め、各区の外商投資企業の苦情処理作業を指導し、監督するものとする。市の商務部門は、苦情処理ルールを整備し、苦情申立手段を整備し、苦情処理の期限を明確にし、かつこれらを対外的に公布するものとする。

第三十八条 本市は、多元的な紛争解決プラットフォームを利用し、調停、商事仲裁、行政裁決、行政不服審査、訴訟などが有機的に結びつき、互いに調整し合う多元的な紛争解決メカニズムを構築し、整備し、外商投資企業に効率的かつ簡便な紛争解決ルートを提供する。

本市は、法に依拠し設立された仲裁機関がシステム、メカニズムの刷新を模索し、仲裁規則を法律、法規に基づき、且つ国際商事仲裁の慣例を参考にし、外国投資者の対中投資に適したものへと整備し、商事紛争仲裁の国際化水準を引き上げ、当事者の私的自治を尊重し、当事者が仲裁手続と準拠法を法に依拠し選択することを認め、独立性、公正、専門性の確保された効率的な仲裁サービスを提供することを奨励し支持する。

外国投資者の対中投資に係る重大で複雑で難度の高い行政不服審査事案については、行政不服審査委員会がこれを審議し、その際、国際経済貿易投資規則に精通した非常任委員又は専門家にも参加してもらうものとする。

 

国の統一的な方針に基づき、国際商事審判組織の結成を積極的に推進し、国際商事審判運\営システムを刷新し、上海の国際商事紛争解決ニーズに応じた審判体制メカニズムの形成を加速させる。

第三十九条 外商投資企業は商会、協会を法に依拠し設立し、商会、協会への参加若しくは脱退を自主的に決定することができる。但し法律、法規に別段の定めがあるときは、この限りでない。

本市は、商会、協会が法律、法規、規則及び定款の規定に従い会員の要望を速やかにフィードバックし、会員向けに情報照会、広報研修、市場の開拓、経済貿易交流、権益保護、紛争処理などの方面のサービスが提供されるようサポートする。

第五章 投資の管理及びサービス

第四十条 外国投資者は、外商投資参入特別管理措置(ネガティブリスト)により投資が制限されている分野に投資するときは、持分、高級管理職者などに係る特別管理措置上の要件を満たしていなければならず、投資が禁止されている分野に投資してはならない。外商投資参入ネガティブリスト外の分野については、「国内資本、外資一本化」の原則に従い管理を実施する。

本市の市場監督管理、発展改革及びその他業種主管部門は、企業の登記登録、プロジェクト承認又は届出、業種許可などの事項を法に依拠し取り扱うに際して、ネガティブリスト審査の職責を履行し、外国投資者、外商投資企業に相談受付サービスを提供し、かつ、部門の枠を超えた情報共有を強化し、他の部門の審査を通過しているものに対しては、関係部門はネガティブリスト審査のプロセスを簡素化するものとする。

第四十一条 外商投資企業の設立、登記変更を申請する際に、申請者がネガティブリストの所定の要件充足を誓約し、かつ、自らが提出した定款、協議書、決議、任職資格証明などの資料の真実性、合法性、有効性を誓約したときは、市場監督管理部門は提出された資料に対して形式審査を行うことができ、資料に不備がなく、法定の書式を満たしており、その場で決定をすることができるときは、その場で書面による決定を下すものとする。但し法律、法規に別段の定めのあるときは、この限りでない。

第四十二条 外国投資者、外商投資企業が本市において固定資産への投資を伴う新設又は合併買収を実施するに際しては、国と本市の関係規定に従い、プロジェクトの実施前に投資プロジェクトオンライン許認可審査監督管理プラットフォームを通じて、発展改革などの部門に申請し外商投資プロジェクトの認可又は届出手続きを行うものとする。

ネガティブリストにおいて投資が禁止されていないプロジェクト、並びに国及び本市の規定により国内資本、外資がいずれも認可審査を経る必要があることになっているプロジェクトについて、認可審査管理を実施することを除き、発展改革などの部門は、「国内資本、外資一本化」の原則に従い外商投資プロジェクトに対しては届出管理を実施し、外国投資者、外商投資企業によってオンライン上で提出されたプロジェクトに係る全ての情報を受領したことをもって、届出が完了したものとする。

本市の外商投資プロジェクトの認可審査及び届出管理弁法は、市の人民政府がこれを制定し公布する。

第四十三条 外国投資者、外商投資企業は、企業登記システム及び企業信用情報公示システムを通じて、投資情報を商務部門に提出しなければならない。市の商務部門は、外国投資者、外商投資企業が投資情報を提出するに際して指導を行うものとする。

外商投資情報報告の内容と範囲は、「確かに必要であること」を原則にして確定し、部門間の共有を通じて取得することのできる情報は、再提出を要求してはならない。市の商務部門と市場監督管理部門は、係る業務システムの連結及び作業連携を徹底させるものとする。

第四十四条 本市の関係部門は、国家外商投資安全審査制度及び作業要求に従い、国に協力し関連作業を展開するものとする。

第四十五条 市の発展改革、商務、経済情報化部門は、関係部門及び係る区の人民政府と共同で、重大外商投資プロジェクトサポート制度を確立し、整備するものとする。重大外商投資プロジェクトリストに収載されているものについて、優先窓口の設置、「ワンストップ化」サービスの提供などにより、参入、計画、土地利用、環境保護、エネルギー使用、建設、外貨などの事項を統括して計画的に手配し推し進め、かつ、プロジェクトの実現を後押しする。そのうち、本市の重大な工事プロジェクト規定を満たしているものは、市級の重大工事建設調整メカニズムに組み入れ、推し進める。

第四十六条 本市は、外商投資企業と政府の官民意思疎通メカニズムを確立し、整備する。

市、区の人民政府及び関係部門は、「円卓会議」を定期的に開催し、又は実地訪問、アンケート調査、オンライン意見募集などの様々な方法を通じて外商投資企業の意見、提案を聴き取り、企業が生産経営過程で直面する問題を適時把握し、その解決を支援し、関連する政策措置を研究し、整備するものとする。

外国投資者、外商投資企業は、「12345」ホットライン、企業クラウドサービス、外国投資促進サービスプラットフォーム、商会、協会などのルートを通じ、要望、意見、提案を報告することができ、それを受けて、関係部門は速やかに研究し、処理するものとする。

第四十七条 本市の科学技術、出入国管理部門は、外商投資企業における外国籍労働者の就労許可、出入国、滞在、在留などの方面で利便性を提供し、「外国人就労、居留の統一窓口」を通じて就労許可と居留許可の手続きを取り扱う際には、七営業日以内で一括して処理を完了させるものとする。

本市の科学技術部門は、外商投資企業が登用した外国籍のハイテク人材、技能型人材並びにその他認定手続きを経た人材が不足しており差し迫って必要な人材の就労許可手続きについて、年齢、学歴、職歴などの制限を適宜緩和することができる。

外商投資企業の招へいを受けてビジネス、貿易を展開する外国籍人員に対し、出入国管理部門と出入国検査部門は規定に従って到着時ビザ及びトランジットビザ免除による利便性を提供するものとする。

第四十八条 市の商務部門は関係部門と共同で、「オンライン・ワンストップ化サービス」に依拠して渉外サービス専用窓口を開設し、外国籍などの人員及び外商投資企業向けにサービス一覧表、取扱ガイドラインなどの英語によるガイダンスサービスを提供する。

第四十九条 市、区の人民代表大会常務委員会は、個別の活動報告の聴き取り、法執行検査の実施などを通じて、本行政区域内の外国投資者の対中投資活動に対する監督を強化する。

市、区の人民代表大会常務委員会は、代表としての役割を十分に発揮し、代表者による外国投資者の対中投資をめぐるテーマごとの調査研究、視察などの活動を展開し、外国投資者、外商投資企業の意見、提案を取りまとめ、報告し、外国投資者による対中投資に係る各種作業を徹底させるよう各関係者を促す。

第六章 附則

第五十条 香港特別行政区、マカオ特別行政区及び台湾地区の投資者並びに中国国外に定住している中国公民が本市において投資する場合、本条例を参照して取り扱うものとし、法律、行政法規又は国務院に別段の定めのあるときは、その定めに従う。

第五十一条 本条例は、2020年11月1日から施行する。

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